【月の井酒造店様 見学】
【月の井酒造店様 見学】
みなさま、こんばんは。2018 ミス日本酒 茨城代表 宮内 菜奈子です。桜や梅が心地よく香る春ですね。可憐な花たちが大洗の街並みに華を添えています。さて、大洗を訪れた最大の目的。このたび月の井酒造店様を見学させていただきました。
潮騒の聞こえる漁師町で、約150年という長い歴史を誇る酒蔵 月の井酒造店様。現在の当主、8代目の坂本直彦様は、私の中学・高校の先輩。また、私の同級生のお兄様です。坂本様直々に蔵内を案内していただきました。
大洗は、アニメ「ガールズアンドパンツァー(通称:ガルパン)」の舞台。店頭には、ガルパンのお酒も並んでいます。ガルパンのファンに日本酒の魅力を伝える戦略だそう。月の井酒造店様は、昔ながらの寒造り(冬の間にお酒を仕込む)をされています。見学させていただいた日の前日、3/5に甑倒し(最後のもろみのためのお米を蒸し終えること)されたそうで、蔵内はお片付けモードに入られていました。蔵人は6人、そのうち3人は岩手からの南部杜氏の方々。
月の井酒造店様では、「箱麹」という製法で米麹をつくっています。麹箱は、麹蓋よりも大きな木製の箱で、より多くの麹を1度に仕込むことができます。箱は、なんとすべて特注でつくっているそう!
毎年、酒質をチェックし、翌年の麹づくりに生かしているそうです。たとえば、来年はもっとこういう酒質にしたいから、麹の水分含量を今年より上げよう、など。仕込みは、昔ながらのつくりの建物で行います。天井の梁がとても立派!毎年、すべてきちんとお掃除されているそうです。酒母は、この上階のスペースでつくり、床にあいた穴から、下階のもろみタンクに送るそうです。下階のもろみを、時系列順に見せていただきました。
仕込みたてのもろみは、まだお米の形がよく残っているのですが、そこから数日たつと、お米が溶け、こぽこぽと泡がたつ状態に。酵母がいきてると、実感しました。もろみタンクには、落下防止用の鉄柵が。8代目の坂本様の発案でつけたものだそうです。もろみタンクに顔を近づけてみると、酵母菌の活動により生成された大量の二酸化炭素が顔を直撃し、刺激臭が鼻をつきました。毎年、どこかの蔵で落下事故で亡くなる方がいる理由がわかりました。
酒質は、実際にもろみをしぼってみなければわかりません。毎日、もろみを漏斗を使って少量ずつしぼり、ろ液(お酒)の酒質を測定します。お正月三が日は、仕事をお休みする方が多いなか、南部杜氏である親方は、1日も欠かさずこの酒質チェックをされているそうです。
しぼられたお酒は、貯蔵タンクへ送られます。ここで貯蔵されたお酒が、出荷されてわたしたちのもとへ届くのです。
仕込みや貯蔵時の温度調節を自動で行ってくれる「サーマルタンク」も導入されていて、ここから搾りたての「彦市 純米吟醸」を頂きました。
最後の瓶詰め作業は、昔ながらのコンベアーのそばで、動作チェックをしながら、丁寧に行います。ラベルは、ほとんどがシールで機械貼りではありますが、手すき和紙製のラベル(たとえば「和の月」)などは、手貼りをされているそうです。 こうしてつくられたお酒を色々と試飲させていただきました!
日本酒仕込みの梅酒「恋梅」
月の井 吟醸
月の井 特別純米
月の井 本醸造
彦市 純米
どれもおいしゅうございました。お米の味がしっかりし、大洗の海鮮と楽しみたいです。特別純米は、歴史を感じる味。坂本さんお気に入りの7号酵母の味なんだとか。
歴史や伝統を守りつつ、新しい技術も取り込み、お酒づくりに真摯に向き合い続けられている月の井酒造様。坂本様の「毎年なにかしら新しいことに取り組むというルールを決めている。同じことの繰り返しではいいお酒はできない」という言葉が印象深く感銘を受けました。
新しいことに挑戦し続けるからこそ、愛される、食事に寄り添うお酒をつくることができる。 2年連続 全国新酒鑑評会金賞受賞という快挙も、坂本様を筆頭とした蔵の皆様の努力の結果なのでしょう。この熱い想いが、皆様へ届きますように。坂本様、月の井酒造店の皆様、ありがとうございました。
2018 ミス日本酒 茨城代表
宮内 菜奈子